母が弓道をやっておりまして。
古い乾漆の矢筒をいただいたということで、お直ししました。

弓と一緒に持ち歩くものなので、あちこちへこんでいたり、表面の漆がはがれていたり。
かなり傷んでいました。

そこで、へこみの部分は刻ソ漆(漆のパテ)で埋めて形を整え、全体を塗って仕上げ。

1mぐらいあるので、塗って乾かす時が大変だったー。
全体を塗り直したことで強度が上がったので、この先も長く使ってもらえるんではないかと。


左がもともとの状態。朱や黒、緑(?)など、さまざまな色が研ぎだしてあります。
これを上から朱合漆(透明感とつやのある漆)で塗ったのが右。
刻ソで埋めた部分が目立ってしまうかも?と心配していたんですが、もともと黒い部分もあったので、ほとんど気にならない仕上がりに。
写真にも埋めた部分が写っていますが、わからないですよね???
刻ソで埋めた部分は、乾いてから彫刻刀で彫って、同じように模様を入れました。


こちらは蓋。
名前を入れてほしいというリクエストがあったので、一番目に付きそうなところに白漆で書いてみました。

直す前の写真を撮っていなくて比較できなかったので、自分では、ちょっとはきれいになったかなー、という程度だったんですが。
母が道場に持って行ったところ、道場のみなさんが、あまりにもきれいになっているので驚いていたとか。よかった!

 

現在、クロフ舎でお引き受けしているのは、陶磁器の金継ぎと拭き漆の漆器のお直しです。
ですが、将来的には塗りものの漆器のお直しもできるようにしたいと思っているので、金継ぎの合間に塗りの修行をしています。

先日、弟たちが小さい頃に使っていたこども椀を、母がどこからか見つけてきました。
そこで、塗りもののお直し修行も兼ねて、姪っ子(4歳)と甥っ子(2歳)用にリメイクしてみることに。


写真を撮り忘れてしまったんですが……もとは外側が拭き漆、内側は弁柄の塗り、ふちは呂色漆というもので、子どもが使うのにはちょっと地味かなー、という感じ。
30年近く使っていなかったので、高台は虫食いによるカケがあったり、ふちにはヒビ割れがあったりと、かなり傷んでいる状態です。
全体をペーパーで空研ぎしてキレイにし、カケやヒビは刻ソ漆(漆のパテ)で埋め、形を整えました。その上から全体に拭き漆を重ねます。
中は塗りに。姪っ子は本朱、甥っ子は呂色にしてみました。


そして完成したのがこちら。

残さず食べると、底から梅と松が出てきます。
梅は呂色、松は白漆で、ステンシルで入れました。
写真では大きさがわかりにくいですが、直径10センチほどで、小さな子どもが使うにはいいサイズです。
とはいえ、せっかく直したので、長く使ってもらいたいなと思い、あまり子どもっぽくなりすぎない柄にしてみました。

赤いほうの、高台の下の黒くなっているところが、刻ソ漆で埋めた部分です。
写真は明るく写っていてちょっと目立っていますが、実際にはもう少し拭き漆が深い色になっているので、それほど目立ちません。

先月、姪っ子と甥っ子が遊びに来たので見せたら、すごく気に入ってくれました。
姪っ子からは、「ワァ! 毎日これで食べたーい♪」という、おば冥利に尽きる一言も!
いっぱい食べてたくさん遊んで、元気に育っていってほしいものです。


塗りのお直しは、金継ぎと同じようなワレやカケのほかにも、塗膜の浮きや剥離、ハゲ、漆の変色など、さまざまです。
もっといろいろなお直しの技術を身につけていかなくては、と日々感じています。
これからも修行に励んで、近いうちに少しずつでもお引き受けできるよう、がんばります!
 

クロフ舎では、拭き漆の器のお直しも承っています。

拭き漆とは、漆を塗っては拭き取り、という工程を繰り返す漆の技法のことです。
漆のあめ色が木地の木目を引き立たせる、木の魅力を生かした技法です。塗りのものと比べると素朴な味わいで、毎日の食卓で気軽に使うのにぴったり。

ただ、塗った漆を拭き取る塗装方法なので、塗膜はとっても薄く、長年使っていると手ずれなどで漆が落ち、木地がむき出しになってしまいます。
そのまま使っていると、はげた部分から油が染み込んでしまったり、水分が染み込んで乾きにくくなったりして、黒ずんだり、カビたりする原因になってしまうことも。



写真のお椀も、長年の使用で外側の漆はほとんどはげてしまっています。
特に洗った時に水がたまりやすい高台の部分は傷みが激しく、黒ずみも目立ちます。


こういう状態になってしまった器も、表面を研いでもう一度拭き漆をすることで、新品のようによみがえるんです。
それがこちら↓

お直し後の写真です。
上で紹介した写真と同じお椀ですよ!
使い方にもよりますが、これでまた、10〜20年は使い続けていただけると思います。


さっき、「新品のように…」と書きましたが、新品のものよりお直ししたもののほうが、長年の使用による味が加わって、仕上がりに深みがあるように感じます。

拭き漆の器はお値段が手ごろなものも多いので、ものによってはお直しをするよりも、新しいものを買いなおしたほうが安いということもあると思います。
けれども、この時間を経て生まれる美しさも捨てがたいもの。

使ったらすぐに洗う、洗ったら乾いた布で拭いてしっかり乾燥させる、などの日々の基本的なお手入れ。
それに加えて、10年、20年に一度などのペースでお直しをしていただければ、それほど高価なものでなくても、一生使い続けていただける、特別な器になるのではないでしょうか。


ちなみに、傷みの程度によりますが、お椀のお直しだと2000円くらいから承っています。
このくらい傷んでしまっていると、下地を施すところからしなくてはいけないので、1つ3000円ほどになります。
5個や10個など、まとめてのご依頼の場合、割引もありますのでご相談くださいませ!

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